PullReqMakerの開発に至る経緯について

皆さんこんにちは。代表の佐藤です。

先日公開しましたPullReqMaker(評価版)について、目指している方向性や経緯を書きます。なお、製品のコンセプトなどについては以前研究会での発表もありますのでご関心のある方はぜひ。モジュール化によるホワイトカラー労働の生産性向上のための基盤ソフトウェア「MIP」の提案(PDF)

構想を考えはじめたのは1年ほど前になります。大学をやめて事業に専念してから、いずれは自社のプロダクトで事業ができればと考えていましたが、あっという間に2年の時間が経っていました。はじめのうちは、FinTechのプロダクトを作っていました。投資手法の集合知による最適化をするプロダクトだったのですが、どう考えてみていわゆる今日で言う”貧テック”にしかならないような気がしたのと、金融業界の内部がわかる人材の協力なしには立ち上げることが難しいだろうと判断したこともあり、途中でやめてしまいました。

その2年間受託を別にして、どのような分野で仕事をしていくべきか色々考えていましたが、その経験から自分の中で腹落ちした事があります。使われるソフトウェアを作るには使う人の気持ちがよくわかってないといけない。良いソフトウェアづくりには、そのソフトウェアが使われる情景をありありと脳内に再現できる皮膚感覚が必要だ痛感するようになりました。

その問題意識からすると、自分の解決すべき課題は、ホワイトカラーの知的生産性の向上にあるような気がしてきました。よく考えてみたら、一時期金融機関で仕事をしていた例外を除けば、私の仕事経験のほとんどは広義の知的生産でした。社会調査の設計や分析、執筆やプログラム作成がその大半ですが、その現場でのそれらのデータ収集や処理については比較的実情がよく分かるような気がします。

そこで、広い意味での知的生産性の向上をテーマにすることは決まりました。そこからPullReqMakerの開発に至るまではもう一つのきっかけがあります。昨年の夏前に、かつての私の研究室の卒業生で、大手ウェブ企業で開発者をしていたK君が入社して仕事を手伝ってくれるということになりました。話し合ってみると、そのK君はいわゆるDevOpsの分野が好きで、様々な業務の自動化に関心があるということがわかりました。

よくよく考えてみると、知的生産としてのコードを書く行為は、その他の知的生産分野と比べると極めて洗練されている用に思えます。ITによる競争力の強化は組織にとって生命線であり、コードを効率的にミスなく生産することは多大な組織効率性の向上をもたらすからです。すくなくとも、論文という自然文を執筆するプロセスの乱雑さに比べると、コードを書く方法については既に様々な方法論と議論がありある程度整頓されています。

そこで、ソフトウェアの開発方法論のうち、その他の一般的な知的労働に転用できる可能性がある技術について考えるようになりました。その答えの一つがgit技術の非エンジニア業務への適用であり、そのためのソフトウェアがPullReqMakerです。PullReqMakerは一般的な文書やエクセルデータの作成過程にgit技術を導入することで、詳細な差分データとして、その作成過程をオープンにする効果があります。

これまで、ホワイトカラーの知的労働生産性の実情はブラックボックスでした。しかし、一般的な開発プロセスでコードの変更履歴が公開されるように、これらの知的生産プロセスもいずれ公開・可視化が一般的に行われる時代が来ると思います。そうなって初めて、人間の知的生産にたいする様々な科学的アプローチが可能になると考えています。そういう履歴の蓄積する効果をPullReqMakerでは”知的生産ロガー”と呼んでいますが、知的生産のログがもたらす知的生産の改善可能性は極めて大きいと考えています。

実際に、バックオフィス業務分野では、RoboticsProcessAutomation(RPA)技術が普及の兆しを見せ始めており、人工知能技術のホワイトカラー労働への適用が現実のものとなりつつあります。それらの技術と呼応するように、”知的生産ロガー”技術が活用され、人類の知的生産性が少しでも向上するように努力できればと考えています。

引き続きよろしくお願いします。頑張ってまいります。

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